子どもの自己肯定感

「なぜうちの子どもは消極的?」その理由と対策について解説!

子どもが友達との交流の場で、周りの子どもと比べて消極的である場合、「もしかしてコミュニケーションが苦手なのかな」とつい心配になってしまいます。

コミュニケーション能力は社会に出ても非常に重要なスキルであるため、子どものうちから伸ばしたいと考えている方も多くいらっしゃいます。

コミュニケーションに消極的な子どもについて考える際に、まずは子どもの性格や行動の動機などについても考える必要があります。

今回は子どもがコミュニケーションを取ることに消極的な原因や、消極的な子どもに対するサポートについて解説します。

コミュニケーション能力は社会に求められる重要なスキル

経団連が実施した2018年度の新卒採用に関するアンケート調査結果によると、企業が選考で重視した点について一番多かった回答が「コミュニケーション能力」でした。

「コミュニケーションを必要としない仕事に就けばいいのでは?」と思うかもしれませんが、実はそのような仕事はほとんど存在しません。これは社会人として働く上で必須の能力であり、エンジニアから医者、事務職に至るまで、あらゆる職種でこのスキルが求められます。

仕事には必ず他者との協力が必要となります。コミュニケーション能力が低いと、人間関係の構築が難しくなり、社会人として成功する上で障壁となります。

しかし、コミュニケーション能力は後天的に鍛えることができます。以下ではまず、子どもがコミュニケーションを苦手とする理由を解説し、その解決策について心理学の研究などをもとに紹介します。

参考:経団連「2018 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」

子どもがコミュニケーションに対して消極的な理由は?

子どもが他人とのコミュニケーションについて消極的な理由について考えましょう。

自分が言いたいことが上手く伝えられない、他人とのコミュニケーションを避けがちになる原因はその子どもの性格や動機などが考えられます。

ドイツのフンボルト大学の研究によれば、コミュニケーションに対して消極的である子どもは大きく3つのタイプに分けられます。

一人で遊ぶことが好き

子どもが他の子と積極的に関わろうとしないと親として不安になることもあるでしょう。しかし、他の子と遊ぶよりも、一人で遊ぶことが好きである場合もあります。

例えば一人で絵を描いたり、レゴブロックで遊んだりと、人と遊ぶよりも物と遊ぶことに対して興味を持つ子どももいます。

そのような場合には、無理に他人との交流を強制せず、まずは子どもが夢中になれることを受け入れてあげましょう。また、他人と交流しないからといって、必ずしも話すのが苦手であるとか、自分の気持ちを伝えるのが苦手であるという訳ではありません。

口数が少ない方でも他人と的確なコミュニケーションをとれる方もたくさんいらっしゃいます。

逆に子どもが好きなことや夢中になれることをやめさせてまでも、他人と交流させたりすると、それがトラウマになってしまうこともあり、逆効果になる可能性もあるので、まずは子どもの行動の動機を知ることが重要です。

内気な性格である

内気な子どもは人と関わりたい一方で、何かを恐れて避けてしまう傾向があります。そのような子どもは他の子と一緒に遊びつつも少し距離を保つような行動を示すことがあります。

決して他人を避けたいと思っている訳ではないですが、注目されるのが苦手であったり、他人から批判されるのではないかと慎重な側面もあることが考えられるため、その子どもが快適だと感じる距離感での人間関係を作ればよいでしょう。

子どもはそのような状況でも楽しんでいる可能性があるため、変に介入しない方がよいこともあります。

よく大人が子どもに「もっと自分を主張しなさい」と伝える場面がよくありますが、親自身が子どもの頃にそうだったとしても、現在子どもが置かれている環境や時代の変化もあるため、昔の価値観を押し付けるのは効果的とはいえません。

子どもの性格を加味した上で、他人とのベストな距離感やコミュニケーションを理解してあげましょう。

社会や他人との関わりを避けたい

他の友達を明確に避ける傾向がある子どももいます。これは、他の子に対してネガティブな感情を抱いている可能性があることが示唆されています。

例えば、他の子どもたちが遊んでいるときに、自らその場を離れる、または遊んでいる子どもたちに対して攻撃的な行動を取ることがあります。

この場合、子どもは特定の友達と何かしら学校でトラブルを抱えているかもしれないので、子どもに学校生活の様子や、なぜあの場面で他の子を避けるようになったのかを聞き、問題解決できるようにサポートしましょう。

このように、子どもがコミュニケーションを避ける原因は様々で、その背後には子どもの性格や感情、何かしらのきっかけがあることが多くあります。

そのため、子どものコミュニケーション能力を向上させるためには、それぞれの子どもの事情を理解した上でサポートする必要があります。

参考:

Coplan, R. J., & Rubin, K. H. (n.d.). Social withdrawal and shyness in childhood: History, theories, definitions, & assessments. Carleton University & University of Maryland.

Beyond Social Withdrawal: Shyness, Unsociability, and Peer Avoidance

消極的な子どもとの関わり方について

先ほどのフンボルト大学の研究によれば、子どもの消極的な性格に対するアプローチは以下が有効とされています。

子どもの事情を理解した上でサポートする

先ほどもお伝えしましたが、無理やりコミュニケーションをとらせようと思っても逆効果になることがあります。子どもたちが消極的になる理由は様々であり、子どもの性格や興味の対象に応じて対策を変えることが大切です。

例えば、社交的ではない子どもは、友だちと遊ぶことよりも自分だけでできる遊びに興味があるかもしれません。

一方、内気な子どもたちは、新しく出会う人や状況に対して、緊張や不安を感じながらも、友だちと遊びたいと考えていることがあります。

このような子どもたちは、自分が安心できる環境や雰囲気の中で自分自身を表現することを選ぶ傾向があり、たとえば、公園で知らない子どもたちと一緒に遊ぶよりも、家で親しい友だちと遊んだりすることを好むかもしれません。

これらの例からわかるように、子どもたちのコミュニケーションに対する要望は一様ではなく、親としては子どもの個々の性格や興味を尊重しつつ、適切なサポートを提供してあげることが大切です。

子どもが置かれている環境にも注意する

子どもがコミュニケーションに対して積極的になるかどうかは、その子どもが日常生活で遭遇する環境や状況にも大きく影響されます。

例えば、子どもが新しく入ったクラスで友達作りに苦労しているとします。このような場合、その子は自分自身を守るために、あえて一時的に友達と交流しないかもしれません。

これは内気になっていると誤解されるかもしれませんが、実際にはその子が自分自身を新しい環境に適応させている途中であるともいえます。

そのようなタイミングで無理に他の子と交流させたりすると、それこそコミュニケーションに苦手意識を感じさせる原因にもなります。親としては、子どもの反応を見極め、適切なサポートを提供することが重要です。

参考:Beyond Social Withdrawal: Shyness, Unsociability, and Peer Avoidance

まとめ

コミュニケーション能力は訓練によって大きく伸ばすことができます。子どもがコミュニケーションを恐れない第一歩として、まずは子どもの状況を理解すること、他者との交流に消極的である背景について考えることが重要です。

子どもが置かれている状況を把握し、それぞれに適したサポートを提供しましょう。

ABOUT ME
この記事の監修者 - 井上 顕滋
31年の経営者経験を持ち、主に教育系メディア事業、人材育成企業、子どもの非認知能力強化プログラム「Five Keys」を運営する財団法人、飲食事業などを経営。 人材育成のキャリアは社員教育からスタートし、成果を上げる中で多くの経営者から問い合わせが増加し、2004年に人材育成企業「リザルトデザイン」を設立。 クライアントの業績に大きく貢献する中で、社員の成果には個人差があることを痛感し、その原因を解明するため、世界的権威である研究者および実践者から最新の心理学と脳科学および「人の心に変化を生み出す最先端技術」を徹底的に学び、実践を重ねた結果、成果とモチベーションの向上を可能にするリザルトプログラムを開発。 また上記「成果の個人差」の真因と、満足度の高い充実した人生を送れるかどうかの鍵が、幼少期(12歳まで)の「親の関わり方」と「与える教育」にあることを発見し、親への教育講座を開催。
子育てのとびら編集部
明日から実践できる子育てに役立つ情報を発信していまいります。