子どもの自己肯定感

非認知能力とは?子どもにとってなぜ必要なのか?

子どもの能力は決して算数や英語だけのテストの点数で測れるものばかりではありません。むしろ、算数や英語などのスキルを伸ばすための土台となる「非認知能力」が子どもの成長において、最も重要になります。

近年、非認知能力という言葉が徐々に浸透し始めているものの、「非認知能力って何?」と疑問に思う方もまだまだ多いかと思います。

今回は海外の研究などをもとに、非認知能力とは何か、鍛えることで子どもにどのようなメリットがあるのか、それらを鍛える方法について解説します。

そもそも非認知能力とは?

オーストラリアのカーティン大学の研究によれば、子どもたちが学校や社会で成功するためには、算数や英語などの「認知能力」だけでなく、非認知的なスキルや要素も重要といわれています。

非認知能力とは具体的には以下の要素から構成されています。

  • モチベーション:勉強などに取り組む意欲や動機づけ
  • 自己効力感:自分の能力やスキルを信じ、目の前の課題を達成できると信じる気持ち
  • 持続力:困難に直面しても諦めずに続ける力
  • 自己調整:自分で勉強の計画や目標を設定し、目標達成に向けて自分を律する力
  • 社会情意的スキル:他人と適切にコミュニケーションを取り、自分の感情をコントロールする力
  • 創造力:0から1を生みだす力
  • 対応力:失敗に対して対応するする力や失敗から学ぶ力
  • メタ認知:物事を客観的に思考する力


非認知的なスキルは、社会で活躍するためにも非常に重要で、子どもの頃から教育や訓練により鍛えることが可能です。そして、これらのスキルを鍛えることで、子どもたちは将来、社会で活躍するための土台を作ることができます。

参考:Non-cognitive Skills and Factors in Educational Attainment Myint Swe Khine and Shaljan Areepattamannil (Eds.) 

非認知能力は子どもの教育においてどのようなメリットがあるのか?

前述のカーティン大学の研究によれば、子どもの非認知能力を鍛えることで、以下のようなメリットがあるといわれています。

学校の成績向上

非認知能力は、勉強などに必要な認知能力とも深く関連しているため、学校の成績の改善にも貢献します。例えば、非認知能力の一つの要素でもある、モチベーションを高めることで勉強に対するやる気を引き出し、成績を上げようと効率的な勉強方法を編み出すことができます。

与えられた課題をただ学習するだけではなく、それを学ぼうとするモチベーションが成績向上への土台となるため、非認知能力を鍛えることで、学校の成績向上が期待できると考えられています。

将来的に企業から求められる人材になる

非認知能力は、子どもが将来、社会人になり、企業に採用される上で重要な素質になります。企業は求職者を採用する際には以下のような資質を見極めます。

  • 他者とうまく協業できるコミュニケーション能力
  • 物事を最後までやり遂げる持続力
  • 自信を持って新たな課題に取り組むことができる自己効力感
  • 自ら考え、自分の意志で計画や目標を決めて物事を進めていく主体性など
  • 勉強や習い事などに対して自ら動機づけする力
  • 創造力:0から1を生みだす力
  • 対応力:失敗に対して対応するする力や失敗から学ぶ力
  • メタ認知:物事を客観的に思考する力

例えば、どれだけ優秀な大学を出ていても「この仕事で成果を出せる自信ないです。」という方よりも、「この仕事はやったことはないですが、少なからず成果を出せると思います。」と、自分の能力を信じて取り組む人の方がチームに迎えたくなりますよね。

またそのような方は前向きに物事を捉えているため、常に「どうすればできるか」を考えながら仕事する傾向があります。結果として、成果にもよい影響を与え、社会人として活躍することが期待できます。

勉強でいい成績を出しているというだけではなく、持続力や自己効力感を含む非認知能力を鍛えることが将来活躍する上でも重要です。

自ら事業を起こす人材になる可能性が高い

非認知能力は自ら事業を起こす人材になる可能性があるということが研究でわかっています。オックスフォード大学のレニー・アダムス教授の論文によると、CEOの役職を持つ人は、一般の人よりも、非認知的能力が高いとされています。

CEOは組織の戦略を練ったり、目標達成するために従業員を鼓舞して導いたりする必要があります。このような役割を果たすためには、数学や英語のような認知的能力だけでなく、他者とうまく協業できるコミュニケーション能力や、0から1を生みだす力などを含む非認知的能力が非常に重要になります。

Benmelech, E. (2018). Are CEOs born leaders? Lessons from traits of a million individuals. Journal of Financial Economics, 130(2). Retrieved from https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0304405X1830182X 

円滑な人間関係の構築

非認知能力は、子どもが社会で生きるためにも重要です。例えば非認知能力の一つでもある社会情意的スキルは、良好な人間関係の構築や、自分の感情のコントロールなど、日常生活における多くの場面で役立つスキルです。

これを身につけることで、将来仕事でもプライベートでも良好な人間関係を構築することができ、社会でも生きやすくなるでしょう。一方で、このスキルを身につけていない場合、どれだけ勉強や仕事ができても生きづらくなる可能性もあります。周りにも「優秀な方だけど、あまり他人への思いやりがないな」と感じる方もいますが、そのような場合、他人との協力が必要な社会において、少々生きづらくなってしまう可能性があります。

このように非認知能力は学業や仕事はもちろん、社会で生活する上でも非常に重要なスキルです。

子どもの非認知能力に影響を与える要因とは

では非認知能力は何によって影響を受けているのでしょうか。前述のカーティン大学の研究によれば、非認知能力に影響を与える要因には以下のようなものがあります。

子ども個人の特性

非認知能力は子どもの性格や思考、価値観などに大きく影響されます。

例えば、

  • 子ども自身が自分の強みや弱みを理解し、何を得意、苦手と認識できているか
  • 自分を信じ、困難な状況に直面しても諦めずに努力を続けられるか
  • 自分の感情、行動、衝動をコントロールし、困難な状況でも冷静さを保つことができるか
  • ストレスや困難に対処する能力が高いか

などが非認知能力を育てるための土台になると考えられます。

安心して学習できる環境

子供を取り巻く環境も非認知能力に影響を与えます。例えば、子どもが自分の能力について認識できる瞬間は学校の授業やテストでしょう。そのような能力が試される場面でも成果を出すためには、やはり環境づくりが重要になります。

集中して勉強ができる環境なのか、継続して勉強しようと思う空間ができているかなど、子どもが置かれている環境についても注意する必要があります。よい環境で勉強できることで、子どもは継続して学習することができ、結果としてよい成績にも繋がります。

非認知能力を伸ばす方法とは

非認知能力を伸ばすためには以下の4つが重要だと考えています。

  1. 自然の中で自由に遊ばせること
  2. 複数人で遊ぶこと
  3. 効率的な勉強の方法を学ぶ
  4. 専門機関でのトレーニングの実施

それぞれについて解説します。

自然の中で自由に遊ばせること

非認知能力を伸ばすためには、自然の中で遊ばせることが重要です。自然の中で遊ぶ際には、「どのように遊ぶのか」、「どんなルールを適用するのか」を自分達で考えなければいけません。たとえば、ビデオゲームやテーマパークは誰かが作ったルールの中で遊んでいることになります。言い換えれば「遊ばされている」ような状況です。

一方で、自然の中では周りに何もないことが多く、自分達で遊びやルールを考える必要があるので、考える力や創造力を鍛えることができます。

例えば、河原で石を投げて、何回水切りできるかといった遊びを小さい頃にやった記憶があると思いますが、そういった遊びも自分達でルールを決めながら楽しむので、非認知能力を伸ばすきっかけになります。

複数人で遊ぶこと

非認知能力を伸ばすためには複数の友達と遊ばせることが重要です。複数人で遊びを成立させるためには、自分がわがままだと成立しません。みんなで楽しもうとする過程において、周りの空気を読んだり、周りとうまく調整したりするスキルが自然と磨かれていきます。

また複数人で遊ぶと、時に喧嘩が起こることもあります。そのような人間関係の摩擦を子どもたちで解決する経験も非認知能力の重要な資質であるコミュニケーション能力や他者と調整する力を高める機会になります。

そのため、子ども同士の争いごとが起きても、なるべく親は介入しすぎず、子どもたちに解決させることが重要です。

効率的な勉強の方法を学ぶ

シカゴ大学によると効率的な勉強の方法を学ぶことも非認知能力を鍛える方法の一部とされています。

子どものころに最も多く直面する課題は勉強です。大人になるにつれて目の前の課題が勉強から仕事になり、毎日目の前の課題をこなしていく必要があります。

子どもの頃から非認知能力を鍛えるためには、効率的な勉強方法を身につけ、自分で学習計画を作り、難しい問題に直面しても諦めずに続ける能力を育てることが重要です。

また研究によれば、授業の内容をしっかりと聞き、宿題やテストをやり遂げる生徒は、学校だけでなく社会でも必要とされる習慣を身につけている可能性が高いといわれています。

効率的な勉強方法を学習し、勉強に立ち向かうことで非認知能力を構成する要因にもよい影響を与えることができるでしょう。

専門機関でのトレーニングの実施

上記の方法は非認知能力を伸ばすために有効な方法ですが、より効果的に非認知能力を身につけるためには専門機関でのトレーニングの実施も効果的な方法です。

Five Keysという非認知能力専門塾では、特別なトレーニングを受けた講師が、子どもたちに対して独自のアプローチを用いて非認知能力の向上を促します。このプログラムは、単に情報を伝えるだけでなく、子どもたち自身に気づきを促すことを重視しています。例えば、特定の体験を通じて子どもたちが自ら学び取ることを奨励し、彼らが実際に体験することで得られる知識やスキルを重要視しています。

AIやロボティクスが支配するこの時代に、子どもが将来、真のリーダーとして活躍できる資質を育むことは極めて重要です。非認知能力を大きく伸ばすために早い段階からFive Keysのような専門機関を頼ることも選択肢のひとつです。

URL : https://www.seiko-juku.jp/about/enjoy.html 

参考:Farrington, C. A., Roderick, M., Allensworth, E., Nagaoka, J., Keyes, T. S., Johnson, D. W., & Beechum, N. O. (2012). Teaching Adolescents To Become Learners: The Role of Noncognitive Factors in Shaping School Performance: A Critical Literature Review. The University of Chicago.

まとめ

子どものあらゆるスキルを伸ばそうと、塾などに通わせることが一般的ですが、それらの成績を伸ばすためにも、その土台となる非認知能力を伸ばすことが重要です。

非認知能力を伸ばすためには、今回紹介したような、「自然のなかで遊ぶ」、「複数人の友達と遊ぶ」、「効率的な勉強方法を知る」などが必要になります。

また、Five Keysのような専門機関に相談することも有効な選択肢の一つでしょう。

子どもが健やかに人生を過ごすようになるためにも、今回の内容を参考にしていただけますと幸いです。

ABOUT ME
この記事の監修者 - 井上 顕滋
31年の経営者経験を持ち、主に教育系メディア事業、人材育成企業、子どもの非認知能力強化プログラム「Five Keys」を運営する財団法人、飲食事業などを経営。 人材育成のキャリアは社員教育からスタートし、成果を上げる中で多くの経営者から問い合わせが増加し、2004年に人材育成企業「リザルトデザイン」を設立。 クライアントの業績に大きく貢献する中で、社員の成果には個人差があることを痛感し、その原因を解明するため、世界的権威である研究者および実践者から最新の心理学と脳科学および「人の心に変化を生み出す最先端技術」を徹底的に学び、実践を重ねた結果、成果とモチベーションの向上を可能にするリザルトプログラムを開発。 また上記「成果の個人差」の真因と、満足度の高い充実した人生を送れるかどうかの鍵が、幼少期(12歳まで)の「親の関わり方」と「与える教育」にあることを発見し、親への教育講座を開催。
子育てのとびら編集部
明日から実践できる子育てに役立つ情報を発信していまいります。