子どもの思考力

子どもの想像力の伸ばし方|なぜ想像力が子どもに必要なのか

想像力は独創的な発想を伸ばすだけではなく、社会に出て企業で仕事する上でも非常に重要な役割を果たしています。

子どもの頃から想像力を伸ばすことで、将来的に円滑なコミュニケーションを図るスキルや問題解決能力の向上が期待できます。

しかし、想像力といっても具体的にどのように伸ばすべきか、わからない方も多くいらっしゃるかと思います。今回は子どもにとって想像力が重要である理由や、想像力をどのように伸ばすのかについて解説します。

子どもの想像力はなぜこれから重要なのか

社会に出るとコミュニケーションスキルが重要なスキルとして求められます。その理由は仕事を円滑に進めるためには、他人と協力する能力が不可欠であるためです。

人材採用サービスを展開するエン・ジャパン株式会社が公表している意識調査では9割が「コミュニケーションの円滑さが仕事にも影響する」と回答しています。

また、このようなコミュニケーションには想像力が大いに求められます。

想像力というと、「発想が豊か」や「独創的」といったイメージが頭に浮かびますが、それだけではありません。想像力が高いということは相手の感情を理解し、読み取る能力も備わっていることを意味します。

そして、相手の感情を読み取る能力こそが、円滑なコミュニケーションのための重要なスキルであり、その土台となるのは想像力です。

参考:エン・ジャパン株式会社|「職場でのコミュニケーション」意識調査ー『エン派遣』ユーザーアンケートー

子どもの想像力を養うことのメリット

ミネソタ大学のStephanie教授の研究によると、想像力が備わっている子どもは以下のような特徴があることがわかっています。

以下にて詳しく解説します。

他人の感情を読み取る力が高い

想像力が豊かな子どもは、他人の心理状態や思考や感情などを理解する能力が高いということがわかっています。

例えば他の友達が落ち込んでいる時、その友達の性格や落ち込んでいる背景などを想像し、適切な対応をとることができます。

もし想像力が不足している場合には、自分の感情や経験からしか物事を判断できないため、他人がなぜそのように感じているのか、どうしてそのような行動をとるのかを理解することが難しくなります。

結果として、想像力が不足している子どもは、他人との人間関係を深めるのが難しくなったり、社会において円滑な人間関係を構築することが難しくなる可能性があります。

創造性が高まる

想像力が豊かな子どもは、新しいアイデアを生み出すことができます。具体的には、既存の概念を組み合わせたり、物事を異なる角度から見ることができるため、新しい視点から問題解決に取り組むことができます。これにより、創造的な解決策を見つけることができます。

例えば、学校の宿題で難しい問題に直面した場合でも、様々な解決策を思いつくことができます。「こういう解き方もあるのでは?」と自ら想像して解決することができるため、結果として問題解決能力の向上にも貢献します。

一方で、想像力が不足していると、狭い視野で物事を考えたり、自分が得た情報や経験に基づいてのみ問題を考える傾向が強くなるため、新たな視点やアイデアを生み出したり、問題解決の際に時間がかかる可能性があります。

柔軟性が高まる

想像力がある子どもは、物事を柔軟に考えることができます。具体的には、新しい状況に適応するために、柔軟に行動することができ、突然起きる状況の変化にも対応することができます。

例えば、サッカーの試合中に雨が降ってきて、いつも通りの実力が出せない場合でも、「雨が降って地面が濡れているときはこういうプレーに切り替えよう」と、その変化に速やかに対応し、試合をうまく進めることができます。

想像力が不足している場合、物事の見方が硬直化し、変化や新たな状況への適応が難しくなる可能性があります。変化の激しい時代において、柔軟性は重要であるため土台となる想像力を伸ばすことは重要です。

参考:The Relation between Individual Differences in Fantasy and Theory of Mind

子どもの想像力を鍛える方法

それでは子どもの想像力を鍛えるためにはどのようなサポートをする必要があるのでしょうか。先ほど紹介した研究では、以下の働きかけが想像力を伸ばす上で効果的とされています。

さらに詳しく解説します。

本や物語を読む事を推奨する

本や物語は子どもの想像力を刺激することができます。物語の中で起こる出来事や登場人物の感情などを子どもたちにイメージさせることで、他人の行動や感情の理解に役立ちます。

1日のなかで子どもと一緒に本を読む時間などつくってみるのもよいかもしれません。

子どもたちに自由に遊ばせる

自由な遊びを通じて、子どもたちは自分自身で物語を作り出したり、新しいアイデアを考え出したりすることができます。

例えば、子どもたちがレゴブロックで遊ぶとき、彼らは家やお城などを自分で作ると思いますが、子どもたちの頭の中では、ブロックはただのプラスチックのピースではなく、想像上の物語を実際に形にしたものであり、そのような活動によって、想像力を掻き立てることができます。

子どもたちにあらゆる視点で質問を投げかける

あらゆる視点から質問をすることで子どもの想像力を鍛えることができます。例えば、「もしも宇宙飛行士だったら何を見つけたい?」と尋ねると、子どもたちは未知の惑星や新種の宇宙生物など、自分たちだけのユニークなアイデアを想像し、話すことができます。

他にも「犬って毛皮で覆われているけど、夏は暑くないのかな?」など、近くにいる動物の視点から考えることで、動物の目線で状況や感情を考える癖を習得することが期待できます。

子どもたちをいろんな場所に連れて行く

子どもがこれまで行ったことがない新しい場所に連れて行ったり、新しい経験をさせたりすることで、想像力を伸ばすことができます。

例えば、動物園に連れて行くと、子どもたちは初めて見る動物たちについて想像します。彼らはライオンがどのように生活し、ペンギンがどのように泳ぐのかなど、自分たちが普段接することのない生き物の生活を想像します。

これらの新しい視点は、子どもたちの想像力を刺激します。

参考:
The Relation between Individual Differences in Fantasy and Theory of Mind
The Impact of Pretend Play on Children’s Development: A Review of the Evidence

まとめ

想像力は独創的な発想ができるだけではなく、他人との円滑なコミュニケーションにも必須な要素になるため、子どもの想像力を鍛えることは非常に重要です。

普段の子どものコミュニケーションを少し変えるだけでも想像力を伸ばすことができ、将来的に社会で活躍できる人材になることが期待できます。

子どもの想像力をどう伸ばすかについて悩まれている方は今回の記事を参考にしてみてください。

ABOUT ME
この記事の監修者 - 井上 顕滋
31年の経営者経験を持ち、主に教育系メディア事業、人材育成企業、子どもの非認知能力強化プログラム「Five Keys」を運営する財団法人、飲食事業などを経営。 人材育成のキャリアは社員教育からスタートし、成果を上げる中で多くの経営者から問い合わせが増加し、2004年に人材育成企業「リザルトデザイン」を設立。 クライアントの業績に大きく貢献する中で、社員の成果には個人差があることを痛感し、その原因を解明するため、世界的権威である研究者および実践者から最新の心理学と脳科学および「人の心に変化を生み出す最先端技術」を徹底的に学び、実践を重ねた結果、成果とモチベーションの向上を可能にするリザルトプログラムを開発。 また上記「成果の個人差」の真因と、満足度の高い充実した人生を送れるかどうかの鍵が、幼少期(12歳まで)の「親の関わり方」と「与える教育」にあることを発見し、親への教育講座を開催。
子育てのとびら編集部
明日から実践できる子育てに役立つ情報を発信していまいります。