子どもの目標達成スキル

キレやすい子どもの心理状況とは?心理学の観点から原因と親としてできるサポートを解説

「うちの子はなんですぐに感情的になるんだろう」とつい不安に感じる瞬間があるかと思います。子どもの頃はつい感情的になってしまうことも多々あるかと思いますが今回の記事では、子どもがすぐに感情的になったり、キレやすくなってしまう原因について解説し、その解決策について紹介します。

今後はチームワークが重要視される時代

今後の時代に必要とされるスキルの一つに「チームワーク」があります。これは多様なバックグラウンドを持つ人と協力し、同じ目標を成し遂げる能力のことを指します。

今後、チームワークが重要になる理由の一つに「グローバル化」があります。世界は一つに繋が

りつつあり、ビジネスもまたグローバル化しています。人口減少が進む日本では、国内だけではなく海外からも労働者を呼び込む必要があり、あらゆる国籍の人と一緒に働く時代が訪れています。

また、現代は第四次産業革命の時代とも言われています。これはビジネスのサイクルが高速化し、前代未聞の課題が日々生まれる時代です。このような状況下では、一人の力だけで課題解決するには限界があります。そこで必要となるのが、一緒に問題を解決するためのチームであり、変動が激しくなるほど必須のスキルといえます。

そのような時代において感情をうまくコントロールするスキルがより一層重要になります。

参考:人生100年時代の社会人基礎力について

キレやすい子どもはどのような心理状況なのか

チームワークが重要である時代に、感情をコントロールするスキルが重要になります。

子どもたちは大人と違い、感情が高ぶりやすく、時には「なぜそんなに怒るのか」と驚くこともありますよね。子どもが怒りやすい状況を改善するためには、まずは子どもの心理を理解することが大切です。

特に注目すべきは、感情のコントロールと密接に関連している「自己調整能力」です。自己調整能力とは、自分の感情や行動を適切にコントロールする能力のことです。

この自己調整能力が、子どもたちが社会に適応し、健全な成長を促す上で非常に大切な役割を果たしています。

では、なぜ子どもの自己調整能力がうまく働かないのでしょうか。アリゾナ州大学の研究によれば、以下の3つの原因があるとされています。

自己調整能力が発達段階である

感情的になる原因の一つに、自己調整能力が発達段階であることが考えられます。

自己調整能力は子どもが成長するにつれて発達します。つまり、特定の成長期、例えば幼児期や思春期には、この能力が未熟であるため、感情を上手にコントロールするのが難しいのです。

例えば幼児期には、子どもたちは怒りや不安といった強い感情を上手に表現するのが難しくなります。また思春期に入ると、ホルモンバランスの変化や社会からのプレッシャーなどにより、感情が激しく揺れ動くことがあります。

こうした成長期において、大人たちは子どもたちの自己調整能力の発達を支える役割を果たす必要があります。子どもとってどのような状況で感情が高ぶりやすいのかを理解し、感情のコントロールをサポートすることが重要です。

自己調整能力の発達には個人差がある

自己調整能力の発達には、子どもそれぞれに大きな個人差があります。これは生まれつきの気質や性格特性によって左右されることがあります。

例えば、ある子どもは穏やかな性格で、感情をコントロールすることが元々得意な場合があります。一方で、別の子どもは活発な性格で、感情を豊かに表現することが得意であるかもしれません。そのため、子ども一人ひとりの性格に合わせた対応が必要となります。

ストレスを感じる環境

子どもの自己調整能力の発達には環境要因が大きく影響します。特に、家庭や学校などの環境にストレスを感じている場合、子どもたちは感情をコントロールするのが難しくなります。また、親や教師から十分なサポートを受けられていないと、自己調整能力の発達が阻害されることもあります。

具体的には、家庭内で虐待があったり、家族との関係が不安定であったりすると、子どもたちは大きなストレスを感じることになり、これが自己調整能力の発達を妨げます。また、学校でいじめに遭ったり、成績が振るわなかったりすることも、子どものストレスを増大させ、自己調整能力の発達に悪影響を及ぼします。

さらに、親から十分な愛情をもらえない場合、または困難な状況に直面したときにサポートを得られずに孤立してしまうと、子どもたちは自分の感情や行動を適切にコントロールする力を失ってしまう可能性があります。

参考:Emotion-Related Self-Regulation in Children

子どもが感情をうまくコントロールするためには

それでは先ほど紹介した自己調整能力を鍛えるために、アリゾナ州大学の研究で提唱されている有効な方法について解説します。

自分の感情を認識することを教える


自己調整能力を鍛えるために、自分の感情を認識することが重要であり、以下の方法が有効とされています。

親が感情表現の見本を見せる:

親が自分の感情を適切に表現することで、子どもたちはそれを見て学びます。例えば、「今日はちょっと疲れていて、イライラしてしまっているんだよ」というように、自分の感情を正直に言葉で表現するなどの方法が効果的です。

感情を表現する語彙などを教える

 子どもに様々な感情の呼び方や表現を教えることで、感情を正確に表現する力が身につきます。例えば、「怒り」や「悲しみ」、「喜び」など基本的な感情から教え、「葛藤」や「挫折」など少しずつ複雑な感情についても学んでいくのがよいでしょう。感情を言語化できるようになることで、冷静に感情をコントロールできるようになることが期待できます。

感情ゲームやアクティビティ

 感情を認識するためのゲームやアクティビティを通じて、子どもたちは楽しみながら感情を学ぶことができます。例えば、様々な顔の表情を当てるゲームや、絵や工作を使って感情を表現させる活動を通じて、子どもが他人との間で起こる感情について知ることができます。

リラックスする方法を教える

子どもにリラックスする方法を教えることで、子どもが自己調整能力を身につけるための基礎を築くことができます。例えば、深呼吸や瞑想、ヨガなどのリラクゼーション法を教えることで、子どもはストレスを自己管理する能力を身につけることができます。

最後に、子どもが感情をうまくコントロールできた場合には、親からの称賛もまた必要です。感情をうまく表現できたときに親からの称賛や励ましを受けることで、子どもはよりそのスキルを向上させようという気持ちになります。

まとめ

子どもの頃はつい感情的になりやすく、それ自体は自然なことですが、大人に成長するにつれて、感情をコントロールするスキルが必要になります。

もし、子どもが感情をコントロールしたり、表現することが苦手である場合は、今回紹介した方法をぜひ参考にしてみてください。

ABOUT ME
この記事の監修者 - 井上 顕滋
31年の経営者経験を持ち、主に教育系メディア事業、人材育成企業、子どもの非認知能力強化プログラム「Five Keys」を運営する財団法人、飲食事業などを経営。 人材育成のキャリアは社員教育からスタートし、成果を上げる中で多くの経営者から問い合わせが増加し、2004年に人材育成企業「リザルトデザイン」を設立。 クライアントの業績に大きく貢献する中で、社員の成果には個人差があることを痛感し、その原因を解明するため、世界的権威である研究者および実践者から最新の心理学と脳科学および「人の心に変化を生み出す最先端技術」を徹底的に学び、実践を重ねた結果、成果とモチベーションの向上を可能にするリザルトプログラムを開発。 また上記「成果の個人差」の真因と、満足度の高い充実した人生を送れるかどうかの鍵が、幼少期(12歳まで)の「親の関わり方」と「与える教育」にあることを発見し、親への教育講座を開催。
子育てのとびら編集部
明日から実践できる子育てに役立つ情報を発信していまいります。